« 清流に舞った花びら11 | トップページ | 清流に舞った花びら13 »

清流に舞った花びら12

岩間を利用して飯盒三個を吊るし火を点けた。島は他に人影はなく、松林に覆われていた。てっぺんまで駆け上ったが何もなかった。島中を子供のようにヤッホーヤッホーと叫びながら走り回り腹を空かせた。
「自然の中で食べる飯は旨いなあ」
「ほんまに美味しいわ。特に塩水で洗ったのが良かったのよ」
 肉や魚の缶詰と梅干とたくあんだけだったが、皆ガツガツ食べた。
「幸ちゃんリンゴ食べる」
 順子が可愛い手で奇麗に剥いてくれたリンゴの甘酸っぱい片思いの味を幸雄は何時までも忘れることはなかった。
 翌春桜の花も散りかけていた日曜日、幸雄は遅い朝食をとっていた。母が何か落ち着かない様子で買い物から帰ってきた。
「順子ちゃんが流産したんやって。可愛そうにのう」
「流産したって、なんでや」
「最初の子はよっぽど気つけんとなあ」
「どないなっとるんや」
 幸雄は箸を投げ出して裏の川の方へ走り出していった。一気に雑木林を走りぬけ川原に降り静かに流れる川面に石を投げた。
「畜生!何で流産や。順子は幸せやないのか諦めきれない俺が近くに住んでいるから順子の家庭がうまくいってないのだろうか?」
幸雄は呆然と淀むことなく流れる水の流れをじっと見詰めていた。崖の上の吉野桜がそよ風に揺られて花びらを川面に散らしている。花びらは幸雄の心を慰めるようにゆっくりと流れていた。

|

« 清流に舞った花びら11 | トップページ | 清流に舞った花びら13 »

小説」カテゴリの記事

コメント

こんにちは♪ジョブ板営業担当の葵です。

クリック数やページビュー数のカウントで広告収入を得る事の出来る
サイトをお知らせに参りましたo(*'▽')〇))"
人気のブログをお持ちの方でもなかなか広告収入を得る事は
ムズかしいのですが、"ジョブ板"なら収入アップが実現するです☆

現在、モニターとして登録して頂いた方には2000円を無料贈呈中
。+.。゜:;。+゜( 。 ・▽・。)( 。・▽・ 。) 。+.。゜:;。+

ジョブ板http://jobbang.com

投稿: ジョブ板 | 2008年4月25日 (金) 16時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1021842/20495669

この記事へのトラックバック一覧です: 清流に舞った花びら12:

« 清流に舞った花びら11 | トップページ | 清流に舞った花びら13 »