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(五)

 

  五

中村が帰って小一時間たっても順子は帰って来なかった。

「お母さん遅いなあ」

「何してんだろう」

葉子と真二は辺りが薄暗くなっても帰らない順子を待ち侘びていた。

その頃順子は常日頃てきぱきと優しく指導してくれる上司の渡辺と喫茶店で深刻な表情で顔を突き合わせていた。予てほんわかとした行為を抱いていた渡辺の温情に縋り付く以外に窮状を打破する方策が見当たらなかった。何時までも幸治を新聞配達をさせることも許されない。

「そうか、ご主人が家出したのか……大変だろうね。でも正社員には簡単にはなれないよ」

「そうですか。子供が三人も居るものですからパートでは生活出来ないのです」

「ええ、三人も……」

渡辺は真剣な眼差しで見つめていたがキュートな順子に子供が三人も居ると聞いて一瞬信じられないと言った顔つきになり言葉が詰まった。

「子供が病気になっても病院にも連れて行けないんです。姑も癌で入院しているのですが治療費も払えなくて……」

順子は追い討ちを掛けるように現状を説明した。

「お姑さんが癌で入院してるの。国民保険は?」

「国民保険では治療費だけです。入院費用や給食費が……」

「そんなに困っているのか……」

中高年の小母さんばかりのパートの中で独り者のように見える順子に密かに行為を抱いていた渡辺は思い掛けなく声を掛けられうきうきした気分で喫茶店にやってきたが、こんな深刻な悩み事を相談されるとは思っても見なかった。

「はい。今のままでは一家心中するしか手がないんです」

「おい、物騒なこと云うなよ」

「何とか正社員になれませんか」

「人事の問題だからね。私では何ともならないですよ。ご主人が家出してるんでは離婚も出来ないんだね。母子家庭になればいろんな優遇措置があるんだろうが……」

渡辺は順子の顔色から反応を窺っていた。

「順子は病気の義母を置いて離婚は出来ないのです」

「そうか、順子さんは優しいのですね」

「優しいんじゃないんです。いろいろ義理があって踏み切れないんです。特に義母には山奥育ちの私を優しく指導してくれたんです」

「順子さんは優しいだけでなく義理堅いんですね」

「そんな……買い被りですわ」

順子は純情そうに頬を紅潮させた。

「そうか離婚も出来ないのか……正社員の件一応上の者と相談して見るか」

「よろしくお願いします」

「うん……あまり当てにしないでくれよ」

渡辺は一応引き受けたものの何か重い気持ちになった。

「気分転換でパッと何処かで一杯やろうか」

「済みません。子供たちが待っているものですから……」

順子は申し訳なせそうに渡辺の誘いを断った。

「いやいいんだ。じゃあ今日のところはこれで……」

渡辺は伝票を持って立ち上がった。

十二月の風は冷たく落葉したプラタナスの葉っぱを振り落としていた。

「寒いね。風引かないように」

「ええ、大丈夫ですわ。本当に時間を取らせて済みませんでした。さよなら」

順子は自転車に跨って走り出した。渡辺は順子を見送りながらブルッと身体を震わせ首を竦めるようにしてオーバーの襟を立て駅の方へ歩き出した。何処かで一杯引っ掛けて帰るつもりらしい。

順子は近くのスーパーで買い物をして急いで家に帰った。

「何してたんだ。遅かったなあ」

舅は既に帰って来ていて不機嫌を顔に現し神経質にタバコを吹かせていた。

「済みません。ちょっと用事があったものですから」

順子はそそくさと台所に立ち夕餉の支度に掛かった。

順子は渡辺からの返答を待ち侘びていた。十日過ぎても渡辺からの返答はなかった。やはりパートから正社員への道は難しいのだろう。渡辺に対してすまない事をした。あんな無謀な事頼まなければよかったと言う負い目が順子を攻め立て渡辺の顔をまともに見るのが辛くなり、五時が来ると逃げるようにしてそそくさと会社を後にした。

渡辺も順子の頼みを無視しているわけではなかった。人事の者にそれとなく打診して見たがいくら若くてもパートからの正社員への登用は今のところ無理な事であった。顔が丸く小さく纏まっているせいか、どちらかと言えば小柄に見える愛くるしい順子の顔を思い浮かべながら困窮している順子に純粋に何か手助けはないものかと思案していた。

順子が渡辺に呼び止められたのは十二月も押し迫ったクリスマスイブの昼だった。

「今日退社したらこの前の喫茶店で待っていてくれるか」

「はい解りました。どうも済みません」

「じゃ、後でなあ」

渡辺は他の人に見られるのが不味いのか、それともいい報告ではないのかそれだけ告げて慌てて離れて行った。

喫茶店の窓際に席を取った順子は見るともなしにガラス窓から外を眺めていた。何処の店にも大小の差はあれクリスマスの飾りつけがされ赤や青の輝きが黄昏の町を華やかにしていた。店内では静かにジングルベルの音楽が流されて沈みがちな順子の気分を和らげてくれた。最もクリスマスを祝うことなど順子には関係なかった。今日がクリスマスイブだと言うことも席について暫くして、<あ、そうか>と思い出し少女のように急に顔が赤くなっていくのが自分でも解った。

「やあ、待たせたね」

息せき切って渡辺がやって来た。

ダーク‧グレーの背広にネクタイ姿の渡辺は工場で見る制服姿の渡辺と違って十才位くらい若く見え順子の亭主の幸一と比べてもどちらが年下なのか判別出来ないほどであった。イルミネーションと小さなロウソクの光に照らされて二人は恋人同士のように見えた。順子は清純な乙女のように緊張していた。先日会った時は上司とパートの関係だったが今日はクリスマスイブと言う事もあってかイルミネーションが輝く幻想の世界に引き込まれたのか渡辺を異性として意識させられた。

「いえ……」

後は言葉にならなかった。

渡辺はゆっくりと腰掛けて辺りを見渡しながら

「綺麗だね」

「いや、恥ずかしいわ。そんな……」

順子は俯いたまま益々固くなっていた。

「え、いや失礼。順子さんも綺麗だがイルミネーションがね素敵だね」

「まあ私早とちりして…嫌だわ」

「そんな事ないですよ。順子さんは本当に純情だなあ。とても三人の子供が居るなんて信じられないよ」

「もう堪忍してください。恥ずかしいわ」

「ごめんごめん」

そこへウェイトレスが注文を取りに来た。

「いらっしゃいませ。ご注文は」

「コーヒー、アメリカンで。君は」

「同じもので」

「かしこまりました。暫くお待ちください」

「それで先日の話だがね……」

ウェイトレスが立ち去った後渡辺は言いにくそうに切り出した。

「実は現状では無理なんだ。期待に添えなくてごめんよ」

「いいえ、私の方こそ無理なお願いをして済みませんでした」

順子は初めから虫のいい願い事だとは分かっていた。日頃から特別に優しくしてくれる渡辺に頼りたい下心が順子の胸の奥底に潜んでいたのかも知れない。恥を忍んででも渡辺に近付きたかったおぞましさに順子は自分でも驚き、何時の間にこんな嫌らしい女になったのか気が付かなかった。

女はやはり頼れる男が居なければ生きていけないのだろうか。順子はしっかり自立しなければと自分を戒めるのだが何処かで誰かに頼りたい女の性が見え隠れしていた。

「いや、それでね新年度からチーフをやってもらいたいんだ」

「え、私が」

「あゝ、パートさん達のチーフ役になればそのうちに正社員になれるかも知れないんだ。どうかね、やって見る」

「ありがたい話ですけど私に務まるかしら。自信がないわ」

順子は若さと美貌を鼻に掛けて同僚のおばさんたちを差し置いてチーフになるのには抵抗があった。だからといって三人の子供たちの将来を考えると綺麗事ばかりは云っておられない。犬畜生と罵られても卑劣な手段ではあってもここは渡辺の好意に甘えるより道はなかった。

「大丈夫ですよ。私が補佐するから」

順子は渡辺の気遣いが嬉しくて涙が流れそうになった。

「ありがとうございます」

「じゃ何処かで祝宴でも挙げるか」

「え、今からですか」

「都合が悪いの」

この期に及んで尻込みする順子の意図が分からないわけではないが、お互いに大人なんだから割り切った付き合いを期待していた。

「家の者に何にも云って来てないから心配するといけないから」

そう云われて見ると男の都合だけで順子の立場を考えないあまりにも性急な自分を恥じた。無理押しは順子を遠ざける結果を招きかねない。

「そうだったね。子供さんが待っていたんだね。ケーキでも買っていくか」

「済みません。勝手なことばかり云って」

「気にすることはないよ。日を改めてね」

雪こそ降っていないが今にも霙でも落ちて来そうなクリスマス‧イブの夕方、世間の人は楽しそうに帰路に着いていたが舅の国次は病院を後にして我が家近くの交差点に差し掛かっていた。信号が赤になり一時停車した。ヘルメット越しに前を見ると道路を隔てた角の洋菓子店の前に嫁の順子が浮かぬ顔で立っている。クリスマスケーキを買おうか迷っているのだろうか。国次は声を掛けようと単車を脇に寄せヘルメットを取ろうとしたが洋菓子店の中から恰幅の良いサラリーマン風の男が出て来てケーキらしい物を順子に渡そうとしている。国次は見てはいけないものを見たような気がして急いでその場を立ち去った。我が家に着いてからも国次は何か苛立たしい気分に襲われていた。

「誰なんだろう。クリスマスケーキを呉れるような間柄の男。どういう関係なんだろう。何時の間にそんな男が出来たんだろう」

山奥育ちの純真な娘と高を括っていたが女は化けるのが早いのに驚くよりも無性に腹が立って来た。

「只今。遅くなって済みません」

そんな事と知らず順子は何食わぬ顔で帰って来た。

「クリスマス‧ケーキー買って来たから食べててその間にご飯作るからね」

順子は四等分に切って皆の前に並べた。

「ウヮーイ、ケーキだ。美味しそう」

葉子と真二は嬉しそうにケーキにかぶり付いた。

「お母さんのは?」

幸治は長男らしく順子に気を使った。

「母さんはいいの。お腹空いてるでしょう。早く食べて」

「本当にいいの。お爺ちゃんも食べよう」

「何処の馬の骨とも分からない奴の呉れたものなんか食べられるか」

国次は子供が機嫌よくケーキを食べている前で足蹴ざまに順子を罵った。

「え、」

順子は一瞬声を呑んだ。何故ばれたのだろう。

「お爺ちゃん何云ってるの。早よ食べよ」

事情を知らない幸治は祖父が変になったのかと心配して取り成した。

「そうよ、美味しいでしょう。お爺ちゃんもどうぞ」

順子はその場を誤魔化すように国次の前にケーキを乗せたプラスチックのお皿を差し出した。

「こんなもの食えるか。あの男は誰だ!」

怒鳴るなり国次は皿を跳ね上げた。ケーキはテーブルの上でぺしゃんこになった。

「お爺ちゃん!何するねん。あの男って何のことね」

幸治は祖父の怒りようが徒事ではないと察知し順子を擁護しながらも順子の様子を窺った。

「何でもないのよ。お爺ちゃんが誰かと見間違っているのよ。お爺ちゃん食べないの。勿体無いから私が食べるわよ」

こんな事態になることを順子は懸念していた。最初からクリスマスケーキを買う余裕などなかった。渡辺が子供たちにと好意で買ってくれたものを無下に断ることも出来ず、辞退しながらも偶には子供たちにケーキを食べさせてやりたかった。

貰ったにしろ買ったにしても国次に怒られることは覚悟していた。

「美味しいねえ」

順子は潰れたケーキの綺麗なところを頬張りながら子供たちを見方にして図太くその場を誤魔化そうとした。

「ねえ、あの男って誰?」

思春期を迎えようとしていた幸治は男と女の話に敏感になっていた。順子は母親とはいえ十八才しか違わない女ざかり。世間にはそれぐらいの歳の差の夫婦はいくらでもいる。増してこの年頃の男の子は年上の成熟した女性に興味を持つ。男と聞いて急に若い母親を異性としての興味で見るようになった

「お爺ちゃんの見間違いだと云っているでしょう。子供は大人の話に入ってはあかんの」

納得はしなかったが幸治は自分の心の奥を覗かれるような気がして黙った。国次も子供たちの前で問い詰めるのは不味いと悟ったのか横を向いてタバコに火を点けた。

順子は床に着いてからも舅の言動が気になって寝付かれなかった。

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コメント

たけりんさん、やっと見つけることが出来ましたhappy01よかった~。またかならず、ゆっくり読ませていただきますので。これからもよろしくお願いいたします。取り急ぎ・・・・。

投稿: 美月 | 2009年6月12日 (金) 21時35分

ごめんネ。
以前に保存した時に文章が長すぎて
HTMLが不正ですと表示されましたので
短く切って保存し直した為迷惑をおかけ致しました。
でも見つけてくれてうれしいです。happy01
こちらこそよろしくねlovely

投稿: たけりん | 2009年6月13日 (土) 16時39分


なんかとりあえずオ ナってるとこ見てるだけで金貰えるって話だったから
ホ テ ルでずっと見てたんだけど、さすがに我慢出来なくてフ ル ボ ッ キwwwww

攻めまくる勢いで服脱いだんだが、俺が攻めるまでもなく
ソッコーで 工 口 い音たてながらもの凄い勢いでむしゃぶられますたwwwwww

てか逆にお礼言われて約束の額より3マン余計に貰えたしwww

http://hole.hotohototo.net/wcyks47/

投稿: じーーーー・・・・ | 2009年10月10日 (土) 11時39分


乙っす!!!!そしてあざっす!!!!!!
教えてもらった通りに適当にやりとりしてたら即日で落としましたwwwwww
一 撃 9 万 ゲトったんで、前から欲しかったグッチのグラサン買ってくるっす♪♪

http://hoge.nadamonty.net/1v-rbh5/

投稿: Re: | 2009年10月21日 (水) 23時26分


おペーニスちょうだい!!!!!!


んなメールをフルテンションでいきなり送られて
今の女と始まったわけだが・・・

ずっとテンション高ぇから最近困ってんのよwwいやマジwww
ぶっちゃけ他にもいっぱい女いるしなー(^^;
でもやっぱなぁーウマいんだよなぁコイツが一番・・・

http://mika.acmahsjfms.com/o249kq-/

あー悩むうううううううう!!!!!!!

投稿: ぶっ飛びすぎwwwwww | 2009年11月 6日 (金) 22時55分


http://morimori.menslip.com/lnpokax/

「んっはう!!!んっは!!!」
んな声出して喘ぐ女始めてで軽くヒいたけど
B地区ピンクだし締まりキュッキュだし今までの女の中で一番最高だったわ!!!

それにどう見てもスゲエ値段の部屋泊まってたし
高級ぽいワイン飲みまくってたし色々金に物言わせてるなーって感じ(^^;
1発で20万貰えたし言う事ねーっす姉さん!!色々ゴチでした!!!!!!

投稿: はいぱわぁぁぁああ!!! | 2009年11月11日 (水) 13時47分


約束通り練習台になってきたんだが、あの女すげーベロ技だったぞwwwww

http://paipai.world-wife.com/s35vx9e/

ティムコに巻きついて離れねーしニュルニュルで天国を見たぉ(*´Д`)ハァハァ
顔はまぁ普通だったけど、こんだけの技あったら関係ないなぶっちゃけwwww
練習いんのかよ?って聞いたら「日頃の鍛錬の賜物」だってさwバカスwwww

投稿: ピタぱろす!!! | 2009年11月15日 (日) 09時12分

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